2010年8月22日日曜日

ムースと関節炎

ご存じかどうか知りませんが、ムース(moose)は私の一番好きな動物です。ムースとの出会いは、イエローストーン国立公園で人生初のバックパッキングをしたときに遡ります。私がランチを食べていたときに、ふと見上げたら、わずか10mくらいの至近距離で、巨大な雄ムースと見つめ合ってしまったのです。そのムースは、私がランチを食べている様子をしばらく観察していたらしいのです。この衝撃的な出会いをきっかけに、ムースファンになりました。

そんなこともあって、ムースと人間の関節炎を結びつける研究に関する記事を見たときは、ちょっと嬉しかったです。

Isle Royale National Park にいるムースの多くが関節炎を患っているそうで、研究から、その原因が成長初期の栄養不良にあることが分かったのです。人間の関節炎の原因やその発展の解明は複雑ですが、ムースに対する研究で、成長初期段階で、または、妊娠中の女性が、適切な栄養を摂取することの重要性が明らかになってきました。

ところで、Isle Royale National Park は教科書的とも言える、とても貴重なムースとオオカミの生態系が残されている場所です。私も大学院でこの predator-prey (捕食関係)の研究を少々やりました。

2010年8月16日月曜日

日常英会話 5つの言葉でレストランを乗り切る方法

アメリカ旅行で一番心配なのがレストランでの食事でしょう。でも心配いりません。パターンさえ覚えていれば、わずか5つの言葉だけで、レストランでの食事を楽しむことが出来ます。

そのパターンというのは、

1. レストラン入店時、自分たちの人数を伝える
日本の多くのレストランと違って、アメリカでは通常、ホスト・ホステスがテーブルに案内してくれます。Wait to be seated などと書かれています。そのため、入店後グループの人数を聞かれます。ですので、英語が聞き取れなくても、自分たちのグループの人数を言うだけで大丈夫です。例えば、

 Just two. (二人です)

もう少し、しっかりした英語で言いたければ、

We are a party of four. (4人のグループです)

なお、通常アメリカでは、グループというよりも、party というほうが多いです。

2. ドリンクを頼む
席に案内されると、しばらくして担当のホステスがやってきて、まずはドリンクの注文を聞きます。ですので、ここでもとりあえず、

Just water, please. (水だけで結構です)

とか、

Orange juice, please. (オレンジジュースを下さい)

と言えば済みます。

3. 料理を注文する
ドリンクが配られたあと、再度ホステスが聞きに来るのは、料理の注文です。
ですので、メニューを指さして、

This one, please. (これ下さい)


で良いですね。

4. お決まりの、「いかがですか」に対して
これが日米のレストランの一番大きな違いです。必ずと言っていいほど、ホステスが途中で立ち寄って、How's everything? などと聞いてきます。「食事はいかがですか?」というお決まりのコミュニケーションです。別に立派な応答をする必要はなく、単に、

Great! (素晴らしいです。)

だけで済みます。もう少し感動を表したかったら、

Wonderful! とか Excellent! (感動的です。とか。。)

でも良いでしょう。

5. 請求書
食事が終わった頃、請求書を渡されます。ですので、単純に

Thanks. (ありがとう)

と言っておけばいいでしょう。「デザートはいかがですか?」と聞かれることも多いので、その場合は、 断りたいなら、

No thanks.

ですね。まとめると、英語が聞き取れなくても、以下の順番で英語を覚えておけば、最低限、レストランでの食事を乗り切れます。


1. Just two (人数).
2. Just water, please.
3. This one, please.
4. Great!
5. Thanks.

なんと簡単でしょう!

オオカミの保護

オオカミは、アメリカではクマなどと共に、食物連鎖の頂点に立つ重要な動物です。狩猟などによって今や絶滅の危機に立たされており、絶滅危惧種として保護されています。それが、最近になって、一部の地域で生息数が回復して、絶滅危惧種の指定を解除すべきだ、と訴える人々が増えてきました。

その流れを受けて、2009年4月、モンタナやアイダホ州で、絶滅危惧種から除外されてハンティングが許可されるようになりました。この決定に反対した動物保護グループからの訴えを受けて、モンタナ州の法廷で、保護を復活すべき、という法的判断が下されました。

ここで注目すべき点は2つ。まずは、こうした大型動物の危機的状態とそれを受けての保護は、人間のエゴの結果だという点です。自分たちが絶滅の危機に追いやっておいて、その生態系に対する影響が甚大だと気づくと、保護に廻り、そして少し回復するとまた狩猟を再開。いつまで経っても自然と調和の取れた生活を出来ないのです。

もう1つは、記事にもありますが、オオカミによって殺された家畜の数はわずか200頭足らずであるのに対し、その他の原因で死んだ数は10万頭を超えるのです。オオカミ被害を訴えて、狩猟を再開するよりも、その他の原因で死ぬ数を減らす努力をした方がよっぽど効果があるはずです。オオカミを敵視するのはいかがなものか、と感じてしまいます。

2010年8月9日月曜日

日常英会話 Are you finished?

前回説明した状態を表す過去分詞の別の代表的な表現です。レストランなどで良く聞かれます。
そう、「もうお済みですか」です。これも、日本語では「もう食べ終わりましたか」という意味合いですが、だからといって

Have you finished eating?

といった言い方はしません。食べ終わった状態にあるかどうか、を聞くわけです。

Yes, I'm finished. / Yes, I'm done.

と答えればいいでしょう。もし、まだお皿に食べ物が少し残っていて、平らげたいなら、

I'm still working on this.

などと言います。work がこういうときにも使えることに注意してください。「仕事する」だけではありません。

次回は、「超簡単レストランを乗り切る方法」を紹介します。

2010年8月6日金曜日

原油流出は解決したか?

メキシコ湾に大量の原油を流出し続けた油井 Deepwater Horizon に対する恒久的な封鎖は成功したと見られています。これを受けて、オバマ大統領も「この戦いは収束に向かっている (close to coming to an end)」との認識を示しました。

これに先立って、 NOAA(米海洋大気局)は約75%の流出原油が既に何らかの形で除去されている、というレポートを発表しました(同リンク、及び NY Times の記事)。その内訳は以下の通りです。

  • 33% -- 人為的に除去
  • 25% -- 蒸発または海中に融解
  • 16% -- 自然に分解・分散
 そして、この先大きな被害をもたらすことはないだろう、としています。

しかし、本当にこれで一件落着でしょうか? このレポートを受けて、多くの科学者が疑問の声を上げています。 一見油の残骸が見あたらなくても、ビーチの下に埋もれていたり、海底に沈んでいることが考えられます。海流によって、たまたま別の場所に移動していただけかもしれません。残存している油が食物連鎖に取り込まれた場合の、長期的な影響にはまだ不明な点が多く残っている点も、認識しなくてはなりません。ある科学者は、この問題を2次元だけでとらえるのではなく、三次元的な災害と受け止めなくてはならない、と指摘しています。

2010年8月4日水曜日

海洋生物の多様性

私が関わっている Census of Marine Life(海洋生物センサス)が、人類史上最も包括的な海洋生物の多様性に関する一連の研究論文を、8月2日付の米科学誌「プロスワン」の電子版に発表しました。地球の海洋をいくつかの地域に分けて、地域ごとの動植物やその多様性を分析しています。

科学誌 Nature にその概要が報告されています。海洋にはまだまだ未知の生物がたくさん存在しているとした上で、こうした多様な環境を脅かしている要因として、乱獲、生息地の喪失、外来種の進出、汚染に加え、地球温暖化による海水温度の上昇や海水の酸性化を挙げています。

一連の論文のうち、日本近海に関する研究については、asahi.com にも掲載されました。

Census of Marine Life のプレスリリースも併せててご覧ください。

2010年8月2日月曜日

日常英会話 I'm done

日本の英語教育では、動詞の過去分詞 = 受け身と習いますね。もちろんそういう使い方をしますが、日常の会話では、それ以上に重要な用法があります。私は英語教育の専門家ではないので、以下の説明は不適切、と指摘する方もいるかもしれませんが、少なくとも、日常英会話では全てつじつまが合いますので、是非しっかり読んでください。

前置きが長くなりましたが、前回の for here to go? に次いで私が面食らったのは、クラスメートから

Are you done with homework?

と尋ねられたときです。do = 「する」の受身形だから、「される」? 「君はされたか?」では全然意味が分かりませんね。これは意訳をするしかないな、と考えた私は、「英語で苦労している君には、到底宿題なんかこなせるわけがなく、友達に手伝ってもらったんだろ?」と解釈しました。(笑)

過去分詞のもう1つ重要な用法は、動作の結果としての状態を表すことにあります。日本語がどちらかというと、動作そのものを表現するのに対し、英語は現時点での状態を表現する傾向にあります。これは是非覚えてください。恐らく、英会話を理解する上で、最も重要な点です。

つまり、Are you done? というのは、宿題をやる do your homework の結果として、もう宿題を終えた状態にあるか、と言うことなのです。日本語では「宿題終わった?」と聞くでしょうね。それを直訳すると Have you done your homework? なんてなりそうですが、 そういう聞き方よりも、現在の状態に関心を持つのが、日常の会話なのです。

そういうわけで、もし既に宿題を終えているなら、

Yes, I'm done!

で良いわけです。I'm done は、1日の仕事を終えたとき「今日はこれでおしまい」なんて言いたいときにも使えます。

I'm done today. Going home now.

このように過去分詞を使って現在の状態を表す言い方は、頻繁に出てきます。今後もたくさんこのような表現を取り上げます。

地球温暖化はれっきとした事実

米国の NOAA は2010年7月に発行したレポートで、地球温暖化はれっきとした事実 "Global warming is undeniable" と指摘しています。このレポートでは、気候に関する10の指標(海面温度、陸上温度、氷河・雪の拡がりなど)を、実際の観測データに基づいて分析している点が注目されます。

環境問題への国際的な取り組みを主導する IPCC が気候変動モデルを用いて将来を予測するのとは異なるアプローチで、実際のデータからも、地球温暖化は動かしがたい事実であることを明確にしています。

ブッシュ政権時代、地球温暖化への取り組みに距離を置いていた米国も、2009年12月には、二酸化炭素などの温暖化ガスが人間の健康・福利厚生に悪影響を与えていると認定しており、今回のレポートもそれ流れを受けています。

また、米国環境省 (EPA) も、エネルギー業界などから出された、環境問題への取り組みへの反論を却下しています。環境省も、温暖化ガス規制を強化する強い意志を示したと言えます。

それでも、いまだに地球温暖化に懐疑的な人々がいるというのは、驚きです。

2010年8月1日日曜日

植物プランクトン減少

地球の酸素のおよそ半分は、海中の植物プランクトン (phytoplankton) の光合成よって生成されます。他の半分はもちろん陸上の植物の光合成によるものです。

この植物プランクトンが大幅に減少しているという研究が Nature に発表されました。地球温暖化による海水温上昇が原因と見られています。植物プランクトンは、酸素を供給するばかりでなく、海洋生物の食物連鎖の土台にもなっていて、この大幅減少は地球環境に甚大な影響を与えることが懸念されます。

この論文に対してコメントを寄せた Falkowski は、"We're squeezing big open-ocean fish like tuna and swordfish from both ends" と警鐘を鳴らしています。つまり、ツナやメカジキといった大型の魚を、上(陸上)からは乱獲で脅かし、下(海中)からは食物連鎖を破壊することで生存を脅かしている、というわけです。

人間は何か良いことが出来ないのでしょうか?

なお、この論文の筆者の一人 Boris Worm は、Census of Marine Life の研究者でもあり、私もお会いしたことがあります。

関連記事 (Scientific American)