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2010年9月30日木曜日

Census footprint

Census of Marine Life(海洋生物センサス)の活動範囲・研究対象となっている海洋を示したマップ(この手の図を英語では footprint と言います)が、科学誌 Nature のニュースに掲載されました。Census of Marine Life が、いかに広大な海洋を対象にして活動してきたかが、おわかりになると思います。

この footprint マップは、私が所属するラボが作成したものです。私も係わっています。PDF バージョンの記事で、footprint の下に記されているリンク (comlmaps.org) は、私のラボのウェブサイトです。

2010年9月15日水曜日

National Geographic Oceans Special Edition

アメリカの教養雑誌として世界的にも有名な National Geographic の Oceans スペシャルエディションに、私が関わっているプロジェクト Census of Marine Life と OBIS が紹介されています。

それだけでなく、このエディションの写真は大変素晴らしいです。本屋で是非(日本でも入手可能なら)ご覧になってください。

2010年8月22日日曜日

ムースと関節炎

ご存じかどうか知りませんが、ムース(moose)は私の一番好きな動物です。ムースとの出会いは、イエローストーン国立公園で人生初のバックパッキングをしたときに遡ります。私がランチを食べていたときに、ふと見上げたら、わずか10mくらいの至近距離で、巨大な雄ムースと見つめ合ってしまったのです。そのムースは、私がランチを食べている様子をしばらく観察していたらしいのです。この衝撃的な出会いをきっかけに、ムースファンになりました。

そんなこともあって、ムースと人間の関節炎を結びつける研究に関する記事を見たときは、ちょっと嬉しかったです。

Isle Royale National Park にいるムースの多くが関節炎を患っているそうで、研究から、その原因が成長初期の栄養不良にあることが分かったのです。人間の関節炎の原因やその発展の解明は複雑ですが、ムースに対する研究で、成長初期段階で、または、妊娠中の女性が、適切な栄養を摂取することの重要性が明らかになってきました。

ところで、Isle Royale National Park は教科書的とも言える、とても貴重なムースとオオカミの生態系が残されている場所です。私も大学院でこの predator-prey (捕食関係)の研究を少々やりました。

2010年8月16日月曜日

オオカミの保護

オオカミは、アメリカではクマなどと共に、食物連鎖の頂点に立つ重要な動物です。狩猟などによって今や絶滅の危機に立たされており、絶滅危惧種として保護されています。それが、最近になって、一部の地域で生息数が回復して、絶滅危惧種の指定を解除すべきだ、と訴える人々が増えてきました。

その流れを受けて、2009年4月、モンタナやアイダホ州で、絶滅危惧種から除外されてハンティングが許可されるようになりました。この決定に反対した動物保護グループからの訴えを受けて、モンタナ州の法廷で、保護を復活すべき、という法的判断が下されました。

ここで注目すべき点は2つ。まずは、こうした大型動物の危機的状態とそれを受けての保護は、人間のエゴの結果だという点です。自分たちが絶滅の危機に追いやっておいて、その生態系に対する影響が甚大だと気づくと、保護に廻り、そして少し回復するとまた狩猟を再開。いつまで経っても自然と調和の取れた生活を出来ないのです。

もう1つは、記事にもありますが、オオカミによって殺された家畜の数はわずか200頭足らずであるのに対し、その他の原因で死んだ数は10万頭を超えるのです。オオカミ被害を訴えて、狩猟を再開するよりも、その他の原因で死ぬ数を減らす努力をした方がよっぽど効果があるはずです。オオカミを敵視するのはいかがなものか、と感じてしまいます。

2010年8月6日金曜日

原油流出は解決したか?

メキシコ湾に大量の原油を流出し続けた油井 Deepwater Horizon に対する恒久的な封鎖は成功したと見られています。これを受けて、オバマ大統領も「この戦いは収束に向かっている (close to coming to an end)」との認識を示しました。

これに先立って、 NOAA(米海洋大気局)は約75%の流出原油が既に何らかの形で除去されている、というレポートを発表しました(同リンク、及び NY Times の記事)。その内訳は以下の通りです。

  • 33% -- 人為的に除去
  • 25% -- 蒸発または海中に融解
  • 16% -- 自然に分解・分散
 そして、この先大きな被害をもたらすことはないだろう、としています。

しかし、本当にこれで一件落着でしょうか? このレポートを受けて、多くの科学者が疑問の声を上げています。 一見油の残骸が見あたらなくても、ビーチの下に埋もれていたり、海底に沈んでいることが考えられます。海流によって、たまたま別の場所に移動していただけかもしれません。残存している油が食物連鎖に取り込まれた場合の、長期的な影響にはまだ不明な点が多く残っている点も、認識しなくてはなりません。ある科学者は、この問題を2次元だけでとらえるのではなく、三次元的な災害と受け止めなくてはならない、と指摘しています。

2010年8月4日水曜日

海洋生物の多様性

私が関わっている Census of Marine Life(海洋生物センサス)が、人類史上最も包括的な海洋生物の多様性に関する一連の研究論文を、8月2日付の米科学誌「プロスワン」の電子版に発表しました。地球の海洋をいくつかの地域に分けて、地域ごとの動植物やその多様性を分析しています。

科学誌 Nature にその概要が報告されています。海洋にはまだまだ未知の生物がたくさん存在しているとした上で、こうした多様な環境を脅かしている要因として、乱獲、生息地の喪失、外来種の進出、汚染に加え、地球温暖化による海水温度の上昇や海水の酸性化を挙げています。

一連の論文のうち、日本近海に関する研究については、asahi.com にも掲載されました。

Census of Marine Life のプレスリリースも併せててご覧ください。

2010年8月2日月曜日

地球温暖化はれっきとした事実

米国の NOAA は2010年7月に発行したレポートで、地球温暖化はれっきとした事実 "Global warming is undeniable" と指摘しています。このレポートでは、気候に関する10の指標(海面温度、陸上温度、氷河・雪の拡がりなど)を、実際の観測データに基づいて分析している点が注目されます。

環境問題への国際的な取り組みを主導する IPCC が気候変動モデルを用いて将来を予測するのとは異なるアプローチで、実際のデータからも、地球温暖化は動かしがたい事実であることを明確にしています。

ブッシュ政権時代、地球温暖化への取り組みに距離を置いていた米国も、2009年12月には、二酸化炭素などの温暖化ガスが人間の健康・福利厚生に悪影響を与えていると認定しており、今回のレポートもそれ流れを受けています。

また、米国環境省 (EPA) も、エネルギー業界などから出された、環境問題への取り組みへの反論を却下しています。環境省も、温暖化ガス規制を強化する強い意志を示したと言えます。

それでも、いまだに地球温暖化に懐疑的な人々がいるというのは、驚きです。

2010年8月1日日曜日

植物プランクトン減少

地球の酸素のおよそ半分は、海中の植物プランクトン (phytoplankton) の光合成よって生成されます。他の半分はもちろん陸上の植物の光合成によるものです。

この植物プランクトンが大幅に減少しているという研究が Nature に発表されました。地球温暖化による海水温上昇が原因と見られています。植物プランクトンは、酸素を供給するばかりでなく、海洋生物の食物連鎖の土台にもなっていて、この大幅減少は地球環境に甚大な影響を与えることが懸念されます。

この論文に対してコメントを寄せた Falkowski は、"We're squeezing big open-ocean fish like tuna and swordfish from both ends" と警鐘を鳴らしています。つまり、ツナやメカジキといった大型の魚を、上(陸上)からは乱獲で脅かし、下(海中)からは食物連鎖を破壊することで生存を脅かしている、というわけです。

人間は何か良いことが出来ないのでしょうか?

なお、この論文の筆者の一人 Boris Worm は、Census of Marine Life の研究者でもあり、私もお会いしたことがあります。

関連記事 (Scientific American)

2010年4月9日金曜日

アル・ゴア、環境問題は道義上の問題

前副大統領 アル・ゴア氏がデューク大学で講演しました (2010-04-08)。ゴア氏の来学は大きな話題となり、多くの人が聴講しました。いろいろなトピックを織り交ぜて、どうやって環境問題と取り組むか、なぜ取り組むのかを熱弁しました。

自然環境との調和を考えずに開発をしてきて我々の世代を criminal generation と呼び、将来にわたってその代償を払わなくてはいけない人々 Environmental refugees を救わなくてはならない、と訴えました。つまり、我々が生きている時代が反映すればいいという考えを捨て、環境問題を道義上の問題 (morel issues) と受け止めなくてはいけないのです。だからこそ、今環境問題に真剣に取り組まなくてはならないわけです。

地球温暖化の原因となっている CO2 を減らす技術についての議論は、会場を大いに沸かせました。つまり。。。

CO2 削減のための技術がどんどん発達しているが、どれも完璧ではない。でも心配することはない。人類はもう既に最高の技術を持っているではないか! 森林という名の。

2010年3月12日金曜日

CoML、アメリカ版 Oceans は支持せず

日本で話題になっている映画「オーシャンズ」は、私のラボが係わっている Census of Marine Life というプロジェクトが制作協力しているのは既にお伝えしました(1月28日付ブログ)。

アメリカでは、4月22日に Disney の配給により公開されますが、日本やヨーロッパで公開されているインターナショナル版から大幅に変更されていて、制作者は大きな不満を持っていました。このため、Census of Marine Life とその資金提供元である Sloan Foundation は、アメリカ版への支持を取りやめ、映画冒頭の Credit にも名前がでないことになりました。

私はまだアメリカ版を観ていないので、どのように変更されたかは分かりませんが、恐らく商業主義に走っているのでは、と想像します。公開後、また報告します。

2010年3月10日水曜日

SeaWorld のシャチ、トレーナーを引きずり込む

フロリダ・オーランドにある SeaWorld で、ショウを終えたシャチがトレーナーを水槽に引きずり込み、溺死されるという事故がありました (2月24日)。
このシャチ Tilikum は、過去にも似たような事件を起こしており、今回も、ショウの直前に不安定な行動を取っていた (CNN より - 英語) そうです。CNN のパーソナリティ Jane Velez-Mitchell は、「サイエンス・動物保護の名の下、シャチを水槽に閉じこめるべきではない (CNN より - 英語)」と主張しています。子供達の前で芸をさせるのはサイエンスではない、と。

なお、野生のシャチが人を襲ったという事例は私の知る限り今までにありません。

傷ついたり、浜辺に打ち上げられたクジラ類を保護する目的で飼育するのはともかく、野生の状態で捕獲するべきかどうか、議論の余地があります。

2010年3月3日水曜日

MISIA、 COP10 の親善大使に

MISIA が COP10 の親善大使に任命されました。
まだ正式なことは何も決まっていませんが、うちのラボが COP10 に少々絡んでいるため、私は COP10 に「逆出張」で参加できるかもしれません。もしそうなれば、MISIA の大ファンとして、何とか MISIA に会えないかなぁ、と今からワクワクしています。
CBD のプレスリリースもご覧下さい。

2010年2月12日金曜日

野生のトラ3000頭

野生のトラは一世代以内に絶滅するかもしれない、と WWF が報告しています。CNN のニュース記事には、以前と現在のトラの生息地を比較する地図があります。その激減ぶりには驚かされます。野生のトラよりも、飼育されているトラの方が多いと言うくらいですから、危機的な状態でしょうね。
今年は、「Year of the Tiger」だそうです。

2010年1月29日金曜日

海洋生物センサス

朝日新聞28日夕刊に、海洋生物センサス (Census of Marine Life、CoML と略記) が大きく取り上げられました(asahi.com にはまだ掲載されていない模様)。今年10月に名古屋で COP10(注) が開かれますが、CoML での研究が COP10 で活用される見通しです。CoML で集められたデータは OBIS というシステムに登録されます。記事にも、データの地球規模の分布地図が掲載されています。

実は私はこのシステムの改良に取り組んでいます。私が今まで注力していたのは、OBIS の下部システムである OBIS-SEAMAP です。これが非常に評判が良いため(単なる自慢です!)、親のシステムの改良も依頼されたわけです。

CoML は 2010 年秋に終了しますが、OBIS はそのレガシーとして秋以降も存続するため、その役割は重要です。私もその重責をひしひしと感じています。


注:昨年コペンハーゲンで開かれた COP15 は、地球温暖化に関する条約締結国会議で、名古屋で開催される COP10 は、生物多様性に関する会議です。同じ COP という略称ですが、混同しないように。

2010年1月28日木曜日

オーシャンズ

映画「オーシャンズ」を観ました。映像はとても素晴らしかったです。一方で、ナレーションは少々退屈でした。宮沢りえがいけないのではなく、ストーリーが物足りなかったです。この映画は、自然保護を前面に打ち出しているわけではありませんが、それでも、もう少しインパクトのあるストーリーにしても良かったのでは。
アメリカでは、ディズニーによる配給で4月22日に公開されます。

テレビや新聞で盛んに話題になっていますね。アメリカでは、まだ公開が先ということもあって、それほどメディア露出はありません。この先どうなるか、いずれまたレポートしたいと思っています。

なお、この映画は Census of Marine Life (海洋生物センサス)という世界規模のプロジェクトが協力しています。これがまさに、私の研究所が関わっているものです。素敵なパンフレットをダウンロードすることができます(英語&フランス語)。このパンフレットの5ページ目にある撮影場所を示した地図は、私が作成したものです。